卒FITや災害対策として注目を集めている蓄電池をご存知でしょうか。
蓄電池にも色んな種類や容量があり、またその値段もピンからキリまであります。
今回はその中でも電気自動車(EV)を蓄電池として使用する際のメリットとデメリットをご紹介します。
日産リーフを蓄電池にするとイイって聞いたよ
コスパ高いって聞くよね
卒FITされた方はどこから知ったのか、蓄電池の見積りを持った営業が来たりします。
最近もお客さんから「こんな見積もらったんだけど・・・」と相談を受けました。
そんなアブナイ契約はするな…とは思いませんが、内容をしっかりと理解してから契約しましょう。
- 日産リーフを蓄電池として使用するメリット・デメリット
- 初期型リーフと現行型リーフでは何が違うのか
- 日産リーフを購入する時のポイント
- 電気工事業歴19年目で蓄電池・V2Hの設計設置を手掛ける
- 実際にEV蓄電池(V2H)を自宅で6年以上運用中
日産リーフは蓄電池に向いているか
筆者のしょーんは日産リーフを蓄電池として使用し始めて、7年目に入りました。
結論から言うと、日産リーフは蓄電池としての使用に向いていると言えます。
そんな日産リーフですが、蓄電池として使用する上で注意するポイントはこの1点です。
なるべく家に車を置いておく
そもそも蓄電池として使用したいのですから、基本的には自宅にリーフがある事が前提となります。
電気自動車を蓄電池で導入すると「通勤時もガソリン代が安くなる」と謳い文句を聞いたりしますが、そもそも通勤に使うと最も蓄電池が稼働して欲しい日中に、自宅に電気自動車(蓄電池)が無いじゃんって事になります。
つまり、通勤で使用する(日中は家に車が無い)用途には向かないと言う事です。
- 専業主婦(主夫)が使用するセカンドカー(買い物程度の利用)
- メインカーだが普段の通勤は公共交通機関のサンデードライバー
- ナンバーを切って固定蓄電池と同じ様に運用する
- 車を使っている間は家に誰も居ない=消費電力が少ない
上記いずれかの使用方法であれば、割と満足度高く電気自動車を蓄電池として使用できるのではないでしょうか。
最も効率が良いのは「ナンバーを切って固定蓄電池として使用する」ですが、これを行うには車両一台分のスペースを占用してしまうので環境を選ぶ所です。
初期型リーフ(24kW/30kW)の弱点
日産リーフが蓄電池&車両としての運用に向いているのであれば、なるべく安い中古車を購入して運用しようと思うのは至極当然ではないでしょうか。
値段優先で車両を探すと見つかるのは基本的に「初期型リーフ」となります。
この初期型リーフ(2010〜2017)ですが、唯一弱点がありそれは以下のポイントです。
バッテリー劣化が早い
初期型リーフには「セグメント」と言われるバッテリーの単位があり言ってしまえばバッテリーの健康度を表しています。ちなみに新車時は12セグメントあります。
今現在の筆者のリーフは「4セグメント」まで下落しています。
大体新車時の1/3の状態ですね。
初期型リーフは新車で24kWですから、4セグメントだと1/3の容量なので8kW程度の容量となります(実際に使用できる容量はセグメントから得られる単純計算よりも少し多いです)
一般的な住宅が1日で使う電力が18〜20kWと言われているので、全く足りていないと言うことが分かります。
(1日で使用する平均的な電力量が18.5kWなのですが、オール電化住宅であれば深夜時間帯に使用する電力が最も多くなるので、日中に使用する電力量は表記より少なくなくなります)
初期型リーフの特徴
初期型リーフと現行型(2017年以降)モデルの大きな違いはバッテリーになります。
どっちもリチウムイオン電池じゃないの?
そうだけど、構成する部材や比率が違うんだ
- 初期型リーフ:マンガン酸リチウムバッテリー
- 現行型リーフ:三元系バッテリー
技術的な話しをすると長くなるので割愛しますが、初期型リーフのマンガン酸リチウム電池の特性は、充放電サイクル特性が悪いと言う事です。
つまり、毎日電池を消費(走行+自宅消費)と充電を繰り返す蓄電池&車両としての使用用途には相性が悪いと言う訳です。
一応マンガン酸リチウム電池にも良い所はあり、それは安全性が高いという点になります(特に熱に対する安定性が高い)
初期型リーフを運用する時の注意点
このように、充放電特性が悪い初期型リーフですから基本的には蓄電池として使用する事には向いてないのですが、劣化を抑える運用方法があります。
- 満充電しない
- 限界まで放電しない
この2つの点に気を付けて運用すれば、バッテリーの劣化を抑える事ができると言われています。
車両側かV2Hシステム側のどちらかで20%〜80%の範囲内で運用するように設定しましょう。
リチウムイオン電池の特性として、サイクルと言われるバッテリーを充放電する事が可能な回数が決まっており、一般的なEVであれば1,500回と言われています。(基準とする劣化率や車両及び電池特性により異なります)
このサイクルは極端に言うと0%〜100%の充放電を1,500回行える事になります。
(1,500回充放電してもメーカー基準値を保証しますと言う意味で、一切バッテリーが劣化しない訳では無い)
つまり、0%や100%の様な限界使用をしないようにすれば劣化が抑えられるのです。
初期型リーフを買う時に気をつけたいポイント
一般的に中古車を購入する時に気を付ける点は何でしょうか?
ガソリン車であれば以下の様な点に気を付ける人が多いでしょう。
- 事故車でない
- 過走行車両ではない
- 同じモデルであれば製造年が新しい
これが蓄電池としても使用する車両となると違います
気を付ける点は以下の通りです。
- セグ欠けしていない(せめて10セグ以上)
以上です。
え?それだけ?と思われるかもしれませんが、走行距離は事故の有無や製造年はどうでもいいです。
もちろん車両としても使用するのであれば、事故は無いに越したことはありませんが、とにかくバッテリーの使用可能領域が全てと言っても過言ではないでしょう。
日産リーフの初期型を購入を検討する時は、中古車サイトで確認するべきはメーターパネルのセグメント情報をしっかりと確認して下さい。
無理に中古車を狙わず新車もアリ
コロナ禍になる以前であれば、中古リーフを狙って蓄電車として運用するのはとてもコスパが高くオススメでした 。
コロナ禍になった昨今の中古車情勢ですが、新車の生産が遅く超納期化している影響もあり、かなり高騰しています。
以前であれば現行リーフ(2017年)が160万+諸経費で購入できていましたが、現在は同じ年式が200万〜となっています。
ここまでくると補助金を貰って新車を購入するのも有りなのでは?と思えます。
車両代(値引&諸経費)ーCEV補助金ー自治体補助金=お得に購入
現行型リーフのエントリーグレードであれば値引交渉をしっかり行い、各種補助金を貰えば200万円台後半が見えてきます。
新車であればセグ欠けなどの考慮ももちろん不要ですし、車としても安心して使用できます。
まとめ
電気自動車を蓄電池として運用するには以下のハードルがあります。
- V2Hシステムの導入(年次によって補助金有り)
- V2Hに対応した電気自動車本体の購入(CEV補助金有り)
- 電気自動車の運用方法(通勤には向かない…etc)
蓄電池代わりとして運用する事を目標にしているので、海外の電気自動車は購入対象になりません。
BMWやメルセデス、フォルクスワーゲンにテスラなど電気自動車としての質が非常に高い車両も増えてきましたが、これらはどれも自宅放電(V2H)に対応していない為、基本的には国内メーカーの電気自動車から選択するようになります。
その中でコスパが良いのが日産リーフです。
特に状態の良い(バッテリー劣化が少ない)日産リーフを安く購入できれば、非常にお得である事は間違いありません。
ただ、日産リーフも初期型と現行型がありバッテリーの質が異なっています。
【初期型】
- バッテリー劣化が進みやすい
- 比較的安価に購入可能(20万~170万程度)
【現行型】
- バッテリー劣化が少ない(種類が三元系に変更)
- 中古車であっても割高(160万~)
自分が購入するなら以下のどちらかにするな
- セグメントが10以上の30kWモデルの初期型リーフ
- CEV補助金を前提とした新車のリーフ
どちらにしても定置型蓄電池と比較して、格安と言える金額で購入できる事は間違いありません。(kW辺りの金額に直した場合)
V2Hシステムも補助金やリース等、導入方法が色々とありますのでまた別の記事でご紹介したいと思います。
ではまた!